またまた時計ネタです。(^^; 普通のクオーツ腕時計の電池交換は自分で日常的にやっていますので態々ブログのエントリーにすることはありませんが、今回はちょっと特殊な電池(キャパシター)の交換作業だったので備忘録としてエントリーしました。
電池交換する時計はセイコーの
AGS(Automatic Generating System)で、後にキネティック(Kinetic)という呼称に統一されました。私のはシリアルナンバーから1997年製造のものとわかります。この時計は機械式自動巻時計のように、回転錘の動きを歯車で発電機に伝えて発生した電力をキャパシター(2次電池)に蓄えてクオーツムーブメントを動かすという仕組みです。ソーラーセルとは違って光に当てる必要がなく、腕に着けているだけで自動的に充電するので電池交換を気にする必要はないというのがこの方式の売りでした。確かに日常的に使っていれば時計が止まることはありませんでしたが、キャパシターの性能や発電メカニズムの摩耗が問題になったようで現在は逆輸入品以外は売られていません。この時計は暫く使っていなかったので、振って充電してみたのですがかなりの回数振っても5分もせずに止まってしまいます。もともと満充電しても1週間くらいしか動作しないのが定格ですし、もう買ってから20年近く経つのでキャパシターも寿命でしょうね。後にもっと長時間(約4ヶ月)動作する大容量のキャパシターに置き換わったり、メーカーにキャパシター交換を依頼すると2万円位かかりそうなので本来ならばオーバーホールをしてしまうのが順当なのですが、2万円もあれば他に色々と使い途もありますし、丁度ネットで交換用キャパシターと交換の仕方を知ることができましたので自分で交換することにした次第です。
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これがその時計です。キャリバーは5M42Aです。 |
裏蓋を外して中を見ると、ムーブメントの左下に円形のキャパシターが見えます。上半分を覆っている半円形の部品は自動発電の回転錘です。
回転錘を反対側に回すと、動力を発電機に伝える小さな歯車と発電用のコイルが2つ見えます。
このキャリバーは5石で、おそらく発電機構の軸受けや超省エネのため輪列の抵抗を低減する為などに使われているでしょうか。
これが今回購入した5M42Aの交換用キャパシター、30235MZです。購入価格は送料込で1944円でした。
まず、回転錘を外します。時計のムーブメントに使われているビスは小さくて溝が細く、普通に入手できる精密ドライバーでは太くて溝に嵌まらないことが殆どなので専用のものを購入するか自分で研いで鋭く(細く)する必要があります。
次に回転錘の動きを発電機に伝える歯車を外します。これはただ嵌まっているだけなのでピンセットで直ぐに外すことができます。尚、機械に無用の傷をつけないように私はプラスチック製のピンセットを使っています。
電池収納部の金属板、絶縁シート、キャパシターの順に外していきます。
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電池交換に必要な部品を全部外したところ |
これが、製造時から時計に入っていたキャパシターで、セイコー電子工業(セイコーインスツルメンツ→現
セイコーインスツル)製のSL920です。幸いなことに液漏れなどは一切ありませんでした。ちょっと見は酸化銀電池のような感じですね。
新しく購入した30235MZには交換用キャパシター、絶縁シート、収納部用金属板がセットになっています。キャパシターは
日立マクセル製のTC920Sで、定格を調べると1.5V、5mAhとのことです。因みに単3型ニッケル水素電池のエネループが1900mAhですから1/380の容量です。これで約4ヶ月動くのですから、この腕時計が如何に省エネかがわかります。
早速、交換用電池を入れます。
次に絶縁シートを入れます。シートの穴と時計側の突起を合わせます。
金属板を入れますが、本体ケースと電気的に接続(接地)する腕を曲げないように慎重に入れます。
金属板をネジ留めし、歯車、回転錘を取り付けネジ留めして完了です。
時計は既に動き出していますが、電池残量チェック機能を使用すると満充電と表示されます。どのくらい保つのか暫く様子を見ましょう。