2016年10月23日日曜日

ホール録音

Roland R-26というメモリーレコーダーを購入したので昨日の土曜日にホールでのピアノ録音に実戦投入してみた。R-26はRolandの製品紹介サイトに録音サンプルがあり、それを聴いてこれはかなり使えるぞと思いAmazonでポチってしまった。単一指向性のXYマイク、無指向性(オムニ)マイクがそれぞれステレオで同時に使えて更に外部マイクを2本接続して合計6チャンネルを96kHz, 24bitで録音できる。他社の製品にも特性の異なる内蔵マイクをステレオで複数装備したものはあるが、どちらか一組しか使えないものしかなく、そもそも6トラック同時に使える製品は非常に少ない。この辺が楽器メーカーとオーディオメーカーの考え方の違いなんだろう。192kHzに対応しているものもあるが、ファイル容量の巨大さ故に実際には殆ど使わないと思うので自分としては96kHzで充分なのである。

恥ずかしながら私も寄る年波には勝てず、コンデンサーマイクとショックマウント数組、重たいマイクスタンド数本、5m以上のバランスケーブル4本以上、レコーダー、専用電源アダプター、100V電源延長タップ、モニター用ヘッドフォン、パラ録りするための予備のレコーダー、そして場合によってはミキサーやマイクプリアンプを1人で全部担いで歩くのはかなりしんどくなってきたので、かねてより録音機材を縮小化したいと考えていて、レコーダーに搭載されたマイクだけでそれなりに録音できれば、軽量な三脚とこのレコーダー、それに予備の電池だけを持ち運べばよいのでかなりの負担軽減に繋がる。そんな事もあってこのR-26を選択したのだが、果たして肝心の録音結果はどうだろうか。

ホールの舞台にピアノの縊れから3m程離れた場所に設置して録りっぱなしにした。電池の減り具合も見るためである。レベル設定は内蔵マイクだけを使う場合は「インプット1つまみ」だけで全て一括で調整できるので非常に便利だ。左右が別々だと正確なレベル合わせが大変なのでこの方式はミスがなくて良いし、ロータリーエンコーダーによるデジタル制御だと思われるのでガリの心配も無用だ。ヘッドフォンモニター用のボリュームも回すと時々デジタル的なノイズが入るのでロータリエンコーダーを採用しているようだ。録音モードの設定なども液晶ディスプレイのタッチパネルで直ぐにできる。今迄使ってきたレコーダーはボタンとジョグダイアルでメニュー階層を掘り進んで目的地まで到達しなければならず至極面倒くさかった。画面が大きいのでレベルメーターも見易い。96kHz, 24bitでの録音全行程2時間少々が終わって電池の残量インジケーターを見てみたが全く減っておらずフル表示だった。容量の大きいエネループ・プロを満充電して録音に臨んだがこれは有り難い。その場でちょっと検聴してみたところ中々よく録れていた。

帰宅後にSDカードから録音データをパソコンにをコピーしてCubaseで色々と試してみた。96kHz, 24bit録音なのでファイルは全部で8GB程で3分割されて計6個だったが、Cubaseで問題なく1つのトラックにそれぞれを繋ぐ事ができた。XYマイクはステレオ感は比較的あるものの低音域が不足している。オムニは殆どモノーラルに聞こえるが音域のバランスは良く低音もしっかり入っている。両方を同じレベルでミックスすると中音域がちょっとキツくなり、XYのステレオ感も減少してしまう。オムニトラックだけをステレオエンハンサーを通してみたらなかなかいい感じで、XYトラックをイコライザーで低音強調したものよりは良いと思う。ただエンハンサーを通してみてもやはりステレオ感には限界がある。そこでXYとオムニのミックス比率を変えて色々とやってみた。今の所一番良い結果だと思えるのは、XYをメインにしてオムニを60~70%程ミックスしイコライザーで低音域を増強してステレオエンハンサーをかけたものである。コンデンサーマイクをステレオで2本立てて、それにアンビエンスマイクを加えたものにどことなく似せる事は出来る。これは実に素晴らしい事で、今迄使ってきたマイク内蔵の数機種のハンディーレコーダーとは比較にならないほど良いのだが、それでもこのレコーダー1台のみで自分が本当に理想としている音像を得るのはちょっと難しいかも知れない。勿論まだ1つの例しか試していないし、セッティング次第ではかなり良い音が録れそうなので今後色々と試行錯誤をしてみたい。小型のペンシル型ステレオペアコンデンサーマイクも入手したので、それとも組み合わせてみたいと考えている。このように様々な音質向上策を試したいと思わせてくれたレコーダーはR-26が初めてである。

ここからはみみっちい話で恐縮なのだが、私が先月AmazonでR-26をポチった時の価格は税込みで29,800円だったが、さっきAmazonを見てみたら4万円超の値段になっていたので吃驚した。買おうと思って販売価格のウォッチを始めたらAmazon以外の各販売店でも毎日のように微妙な価格変動があったので多分これが底値だろうと思った時にポチったのだがどうやら正解だったようだ。4万円超なら恐らく買わずに今迄のレコーダーで頑張っていただろう。これを買ってからそれらが不要になったのでネットオークションで大分処分して2/3位は取り戻した。(笑)

大きな液晶画面とインプットつまみが非常に使い易い。数多のハンディーレコーダーの中では発売日が古くマイナーな機種だが内蔵マイクの音質と使い勝手が頗る良いのでオススメの逸品。新製品を矢継ぎ早に発売しては従来機種を次々に廃番にしてしまうメーカーに比べて、長期に亘って同一機種を根強く販売継続している姿勢には好感を覚える。優れたレコーダーなので、願わくば末永く販売して欲しい。

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