2007年7月18日水曜日

早朝にラジオのスイッチを入れる

時々、意味もなく早朝に目が覚めて、その後再び寝られないということがある(年取った所為か?)。そんな時には何故か短波ラジオのスイッチを入れてアマチュア無線の交信を聞いたりする。BFOスイッチをONにして、ピッチを調整していくとモガモガいっている不明瞭な音声が元通りに復元される。大抵は他愛もない日常の会話なのだが、時々興味深い話が聞けることがある。面白かったのは戦前の呉の軍港の話で、詳細は通信の秘密に関する法律があるので書かないが、戦艦大和に関する話だった(当時は軍港ということもあり秘密主義が徹底していたのであった)。その当時のことを知っている方なのでかなりの高齢と思われるが、そういった秘話(笑)が聴けるのもSWL(アマチュア無線傍受)の楽しみである。

今はインターネットで検索すれば様々な情報を得ることが出来るが、昔は海外の情報を得ようと思ったらまず短波放送を聞くのが一番の近道だったし、各国の秘密通信も短波が主流だった。自分が中学生の頃に海外短波放送受信(BCL)ブームがあり、メカ好きということもあってよくラジオを聞いたものだ。当時は通信手段が限られていたので、随分得体の知れない電波が飛び交っていた。それを受信するのも面白かった。例えば、旧ソ連が発信していた「シングルレターK」という強力な怪電波があった。これはモールス信号のK(-・-)のみを延々と流しているもので、中学生だったある日の午後、ラジオをつけっぱなしにして聞いていたら、受信を始めてから30分くらい経ったあたりから突然電文が変わって何か別の符号の通信を始めたが、暫くするとまた元のKに戻った。工作員への指示だったのだろうか? あのどうしようもない犯罪(乞食)国家である北朝鮮も暗号通信をやっていて、深夜に朝鮮語で数字だけの乱数暗号放送をしていた。これは明らかに諸外国、特に日本に送り込んだ工作員に指令するためのものだった。しかもテープを逆回しにしたような妙な音声で、非常に気味が悪かったのを今でもはっきりと覚えている。

当時はナショナルのクーガ118というラジオを使っていた。これは純然たるアナログラジオであり大雑把な目盛りのダイアルを手探り(殆ど勘)で選局していた。少し経ってからソニーのスカイセンサー5900という、巧妙な仕掛けで周波数直読(待ち受け受信)可能な高精度なラジオが発売されてガッカリした思い出がある。(笑) その後ナショナルからはクーガ2200という通信機のようなラジオが発売された。

それらの高性能ラジオを後目に、アナログ選局の旧型ラジオを使い続けたが、欲求不満は高まる一方だった。しかし、BCLブームそのものが終焉を迎えソニー以外は短波用ラジオの生産をやめてしまった。社会人になって多少金銭的に余裕ができると、嘗て欲しかったラジオの中古品をよく買った。クーガ2200は勿論のこと、周波数が数字ディスプレイで直読できるプロシードB30も手に入れた。同じようなソニーのICF-6800も手に入れたが、程なく周波数カウンターが故障してしまったので修理に出したら「部品がありません」と一蹴された。流石はソニーだ。(笑) それに対してナショナルのラジオは保ちがいい。殆ど故障知らずだし、つい数年前にクーガ118を修理に出したらわざわざ大阪の工場まで送って調整までしてくれたのにはビックリした。このラジオはほぼ30年前の製品なのだ。(^^; 社会人になってから買った当時最先端だったラジオの数からも、如何に欲求不満だったかがわかろうというものだ。一種のトラウマと言ってよいだろう。(笑)

そんなわけで、早朝目がさめて手持ちぶさただと、ついお気に入りのラジオのスイッチを入れてしまうのだが、残念なことに海外短波日本語放送は減る一方である。インターネット放送に切り替えている局も多く、これも時代の流れなのだろう。ただ、インターネットラジオは受信のプロセスを楽しむことは出来ない。安定して聴けるのは何ものにも代え難い魅力ではあるが、雑音の中から幽かに聞こえて来るという短波受信特有の魅力はないのである。何だか懐かしくなって色々とつまらないことを書いてしまったが、当時BCLに嵌った方は私の謂わんとしていることを何となく解って頂けるのではなかろうか。(笑) それにしても、画像や動画などを造作なく遣り取りできるインターネットは、真の情報革命なのだろうと思う。

National Proceed B-30
National Cougar-2200
 

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