2007年5月14日月曜日

KAWAI MIDI シーケンサ Q-55の修理

 ハードオフのジャンクコーナーでカワイのMIDIシーケンサQ-55を見つけて入手した。小さいノートパソコンさえあれば今更ハードウェアのシーケンサを買う必要もないのだが、サイレントピアノが仕事部屋とは別の部屋にあって然もノートパソコンを買う予定は全くないし(笑)、MIDIケーブルを延々と引き回す訳にもいかないのでサイレントピアノ(MIDI)で演奏したものをコンピュータに記録できないのが悩みの種だった。勿論、サイレントピアノにもシーケンスを記録することは出来るのだが、何故か再生時にはMIDI出力されないのが難点で、ハードウェアシーケンサがあれば取り敢えずこれに記録しておいて、後はパソコンに移し替えることができるだろうと考えて購入したのであった。物はACアダプター、取説なし、本体のみのジャンクということで、値段は安かったが動くかどうかは実際にやってみないとわからない。一種の賭であるが、まぁ、動けばもうけもの♪というノリで入手した。しかし、Q-55はネットで検索しても殆ど引っかからないし、河合楽器のサイトでも説明書などの配布もないのにはちょっと困った。ここからは経験と勘の勝負である。(笑)

▲ KAWAI Q-55 本体
帰宅して早速動作チェックをしてみた。この機種はDC10V 1A センター・マイナスのACアダプターを使う。電源に関していえば電圧と容量、端子の極性とサイズをクリアしてさえいれば実は専用品以外でも全く問題なく使えるので、手持ちの電圧可変のユニバーサルタイプのACアダプター(取り敢えず9Vレンジ)を使って動作テストしてみた。電源は問題なく入り、液晶ディスプレイも正常動作したが、フロッピードライブが不調なようでモーターが回転する音はするものの、「NO DISK!」という表示が出てそれ以上全く動作しない。そこで本体の裏蓋を外して修理開始だ。


▲ Q-55 内部

▲ NO DISK 表示
裏蓋をあけてみると、要所要所を銅板でシールドしてあって、なかなか丁寧な作りになっている。中古の場合は、前オーナーが改造目的で基板に手を入れたり、また故障を直そうとして力業で無理をしておかしなことになっている場合も多いのだが、基板を見た限りではオリジナルその儘で、裏蓋を留めているネジの状態から判断しても一度も裏蓋をあけていないようだ。

 さて、この手の古い機種に内蔵されたフロッピーディスクドライブは経年劣化のための故障が多く、その多くは駆動ゴムベルトが延びてしまっているのが原因である。早速フロッピードライブを分解して動作試験してみると、やはりベルトが延びきっていてモーターの動力が駆動部に全く伝達されていなかった。ゴムベルトはこの状態での実測値は、幅2.2mm、厚さ0.4mm、円周(長さ)210mmだった。延びてしまって動作しない状態で220mmだから本来はもっと短いはずである。実測値から推定した新品時の数値を元にして、秋葉原の千石電商でゴムベルトを数本購入して試してみたが、結果から言えば幅2.2mm、厚さ0.4mm、長さ180mmのFDD用ゴムベルトが一番具合が良かった。Q-55をお持ちでフロッピードライブの故障で困っておられる方は参考にして頂ければ幸甚である。

▲ 内蔵FD(分解後)
FDドライブはY・E DATA製のYD-646Fという型番である。普通のパソコンに内蔵しているものとは異なり、フィルムケーブル一本で電源と信号を扱っている。薄型のパソコンやノートパソコンに同様のケーブルを採用したものがあるが、本機とはフィルムケーブルの幅が異なる。現在使われているスリムタイプFDD用に比べると幅が若干広く互換性がない。年代、用途的に見ると恐らく2DD仕様で、代替品は新品では入手できないと思われる。メカニズムを伴った故障しやすい部分に汎用品が使われていると後々の入手が楽なのだが、こういうパーツは規格がコロコロ変わったりするので修理には苦労する。ピンアサインさえわかれば変換コネクターを自作するのだが・・・。さて、試しに2HDディスクを入れてみたところ一応フォーマットが始まり使用できた。2HDそのものと認識しているのか、2DDとして誤魔化して使っているのかはよくわからない。


▲ 内蔵フロッピードライブ銘板
フロッピードライブはちょっと複雑な構造でメカ部分を分解するのに難儀したが、ディスクを保持する部分についているコイルスプリングを取り去りイジェクトボタンを強く押し込むと金具が簡単に外れて、直接内部に手を入れることが出来る。中央の回転部分とモーターの軸にベルトをかました後、エアーダスターで細部の埃を吹き飛ばし、ヘッドも無水エタノールで清掃した後、元通りに本体内に組み上げる。再度フロッピーを挿入して電源を入れると最初はエラーで全く認識しせず、ディスクをフォーマットしても、再度読み込む際にエラーが発生し、こりゃダメか?と思いつつ(ヤケクソで)何度かフォーマットをしつこく繰り返したところ5?6回目くらいで認識し復活した。MIDI信号を扱う回路そのものには全く異常ないので何とかMIDI信号を記録できるようになった。さて、記録後のディスクをパソコンで読もうとしたところ、「このディスクはフォーマットされていない」との警告が出たので、独自フォーマットなのか、それともフロッピーが不調なのかは判然としないが、このままではディスク経由でのデータの遣り取りが出来ない。取り敢えずはパソコンにインストールしたソフトウェアシーケンサを起動してスレーブに設定して録音?するしかないようである。尚、本機はある程度MIDIデータが溜まるとその都度フロッピーに書き込むので、ハードディスクレコーディングのように頻繁にFDDにアクセスする。再度ドライブがいかれてしまわないかちょっと不安だ。さて、本体上面パネルには、「最大100ソングまで、7万ノート(音符)、16トラックを扱うことが出来、パンチイン・アウト、クオンタイズ、小節コピー、消去、繰り返しなども可能」(英文)とプリントしてあるので、MIDI音源を使ったライブパフォーマンスにも充分使えそうだ(ライブはやらないが(笑))。


 最近カワイはデジタルピアノを除いてMIDIハードウェアの製造を全てやめてしまった。カワイのMIDI機器やミキサーはヤマハなどの大手が作らない機能的におもしろい機器(MAV-8等)が多かっただけに本当に残念だ。一時期は会社の存続がかなり危なかったらしく、下の画像は裏蓋の銘板だが、製造元の子会社であるテスコ株式会社というメーカーは既に存在しない。


折角修理して使えるようになったので、ベートーヴェンのピアノソナタでもリアルタイム録音して、サイトで発表しようかな。(笑)

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