2022年12月25日日曜日

CC121修理

 10~11月はCDのマスタリングの仕事で殺人的に忙しく、以前は12時間以上仕事をしても平気だったのですが最近は歳のせいか9時間位すると集中力が途切れてしまい納入直前まで本当に大変でした。自分の仕事は古い音源のノイズ除去が多くノイズリダクションのプラグインを噛ましてオートマチックで除去すると楽なのですが音の生気がなくなってしまうのでそれは殆ど使わず手作業で一つ一つノイズを除去していきます。ノイズ除去のプラグインはメインで使用している波形編集ソフトに付属する物は以前よりも大分高性能にはなってはいますがやはり原音を損なう場面がまだまだ多いです。かつて簡易版を使ったときになかなか効果があって欲しいと思っていたSONNOXのDeclickerフルバージョンが半額セールだったので導入してみましたがこれにはiLokというプロテクションシステムが使われているのでわざわざ6000円近く出してUSBドングルも買いました。結構な出費でしたが実際に使ってみると確かにかなりノイズ低減効果はあるもののやっぱり音が死んでしまうんですね。ノイズ除去効果と音質劣化はトレードオフなのでなかなか悩ましいところです。結局の所商品化する音源では手作業が一番劣化しないので膨大な数のノイズとの戦いになる訳で、そこで重宝するのがフィジカルコントローラーです。現用の波形編集ソフトはsteinbergのWaveLab ProなのですがCubase用のコントローラーCC121が同じsteinbergということでディフォルトで対応しており設定なしで使用できます。特に波形の拡大縮小はEQ調整用のロータリーエンコーダーつまみが使えるので本当に作業効率が上がりました。ところが酷使したせいかエンコーダーにチャタリングが出るようになり拡大縮小が上手くいかずかなりのストレスでした。作業中は修理に出す訳にもいかず我慢して使っていて漸く納品も終わって修理に出そうと思いましたがCC121はディスコンになって暫く経っているので一応ヤマハに修理可能かどうか尋ねたところ大丈夫だということで修理に出しました。最近は販売店に持っていくというよりもメーカーの修理センターに直接送付という形態が多くなっているので直送し、12日受付で修理完了は20日でした。今回はロータリーエンコーダー以外に印刷が消えかかっている再生と停止ボタン交換と剥がれてしまったゴム足も取り付けて貰いました。ロータリーエンコーダーは1個240円と安いのですが、再生と停止ボタンは1個あたり1000円、ゴム足は2個取り付けて320円でした。これに技術料7500円で総額約13000円でした。最初修理費はもっとかかると予想していたのですがまあまあ常識的な金額でホッとしました。本来の機能が回復して満足です。一応予備にお蔵入りしていたKORGのnanoKONTROL2も引っ張り出してきて2台体勢にしました。

修理から戻ってきたCC121
余談ですが、今回最新の11にアップデートしたWave Lab Proでノイズ除去がかなり効率的に出来るようになったので、これまで無理くり使っていた旧MacのSound Designer IIから完全にWave Labに移行することができました。今迄30年以上波形編集の仕事をしてきてその間に随分色々なノウハウを積み上げどうすれば副作用を出すことなくターゲットのノイズが消せるかを手探りでやってきました。最初はアナログテープ時代のようにノイズの部分を単純にカットしていましたがそうすると確実に音楽データが欠損してしまいノイズの処理量によってはテンポ感が変わってしまう事もあります。それを避けるにはどうしたらよいのか、お手本がある訳ではないので本当に試行錯誤の連続でした。漸くある方法を見い出してから殆ど解決したのですがある程度手先の器用さが必要になるので習熟するまでに時間を要しました。ところが最近のソフトは非常に優秀で自分が積み上げたノウハウに近い適切な処理をしてくれるようになったので随分作業効率が上がりました。おそらく今回の仕事も従来の方法では納期に間に合わなかった可能性大です。いずれにしても波形編集ソフトが一本化でき処理能力や転送速度の遅い旧Macを使わなくても済むようになり、またCDマスターはDDPで納入するためWave Lab Proだけで全ての工程を処理できるようになった事は大きいです。

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