2008年7月9日水曜日

新聞記事を読んで

讀賣新聞夕刊に、作曲家三善晃さんの記事がありました。写真も載っていたのですが、さすがに歳をとられたなぁと感じてしまいました。先日、タワーレコードで「三善晃の世界」というCDを見つけて購入したばかりなのですが、そのブックレットに載っている写真---おそらく30代の頃と思われますが---、私にとっての三善さんのイメージというのは未だにこの若い頃の颯爽とした姿なんですよね。学生時代はかなり三善さんに傾倒していて、レコードやスコアを買ったり、出演されていたテレビ番組を録音(当時まだビデオを持っていなかった)したりして、熱心に私淑していました。

「三善晃の世界」は当時よく聴いていたビクターのLPの音源がそのままCDになったもので、聴いていたら当時の熱っぽさを思い出して懐かしくなりました。こういうCDも最近は音源を持っているレコード会社が出すのではなく、大手の販売店が企画、発売する事が多くなりました。自分も仕事で関わっているからよくわかるのですが、嘗ての老舗レコード会社は悲しい事に何処も火の車で意欲的な企画がなかなか出せないんですよね。

さて、三善さんの作曲は基本的にヨーロッパ音楽の伝統に則ったものなので構成・形式が非常に堅固・明確で和声はフランス的ですが、その響きの中に厳しさと日本人としての強烈な主張があり、自分にとっては最も影響を受けた作曲家です。緊迫した3連譜の用法は「三善の三連符」と勝手に名付けたりしていました。(笑) 武満さんはドビュッシー→メシアンの系譜ですが、三善さんはフォーレ→ラヴェル→デュティユーの流れを汲む作曲家で、故矢代秋雄氏や黛敏郎氏とともに、数少ない天才、本当の意味でのプロの作曲家だと思います。その三善さんも今年で75歳、しかも体調もあまり芳しくないと知人の作曲家の方からききおよんでいます。当時の青臭い学生が今や中年ですから時の流れは本当に早いものですが、三善さんには是非長生きして頂きたいと願っています。

三善晃の世界 2枚組CD 1500円 タワーレコード

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