2024年2月23日金曜日

鉄針ピックアップその2

 ネットでSPレコード用の鉄針ピックアップを入手しました。ゼンマイ(或いは電気モーター)式蓄音機のサウンドボックスを外したトーンアームに取り付け、一般的には真空管ラジオ等のピックアップ入力端子に接続してレコード再生するものです。トーンアームの取り付け径の細さから考えると戦後のポータブル蓄音機向けでしょう。鉄針ピックアップの利点は現代のSP用カートリッジがダイレクトにスクラッチノイズを拾って五月蠅いのとは異なり鉄針を使用することでノイズが柔らかく聴きやすくなることです。但しそれ故情報量(解像度)が若干落ちる事も考えられますが少なくとも以前入手した戦前のナショナル製鉄針ピックアップの音はノイズが減ってとてもいい感じでした。

本体の刻印を見ると日本コントロール工業(現在の同名企業とは異なる)の製品ですが、おそらく戦後昭和20~30年代前半位の時期に製造された物ではないかと思われます。
オリジナルのシールドケーブル付きでしたが絶縁体の経年劣化でショートしており、更に100Vコンセントプラグが取り付けられていました。本来ならピックアップ用のプラグが付いているはずですが前オーナーが代用として交換したのでしょう。いずれにしても使えないので廃棄しました。
ピックアップ内部はU字型マグネットと針の振動を直接拾うコイル、そしておそらくはボリューム調節用の可変抵抗器で構成されています。所謂MC(ムービングコイル)型ですね。コイルに繋がっている線を外さないように細心の注意を払いながら現在市販されているシールドケーブルと交換しました。

筐体内が狭くケーブルの抜け止めに結びを作ることが出来ないため本来なら留め金等をケーブルにカシメればいいのでしょうが使える物がないため苦肉の策として自己融着テープをケーブルに巻いて孔よりも太くして抜け止めとしました。融着しているとはいえ強く引っ張ると力に負けて抜けそうですが丁寧に扱えば大丈夫です。早速オーディオインターフェイスに繋いで針留めのネジを触るとゴソゴソと音がしたのでコイルは断線していないようです。実際にSP盤の再生試験はしていませんが問題なく音が出ると思います。回転つまみはボリュームと思われますが、抵抗体の経年劣化なのかボリューム調整は出来ませんでした。手持ちのポータブル蓄音機はどれもゼンマイが不調なのでいずれは修理して試したいと思っています。尚、この種のピックアップに使う鉄針はソフトトーン(或いはハーフトーン)用が最適で、ラウド等の大音量用の鉄針を使うと振幅が大きくなりすぎて歪み(クリップし)ます。

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