2024年3月21日木曜日

笠置シヅ子の歌

 時間の都合もあって私は殆ど見ていないのですが、笠置シヅ子をモデルにした連ドラ「ブギウギ」がそろそろ終わりますね。去年、連ドラに合わせた復刻CDの企画が大手レコード会社で立ち上がり関わらせていただきました。音源の調律とノイズ除去作業をさせていただくため音源を受け取って作業用のPCに取り込んで試聴して度肝を抜かれました。それは「ラッパと娘」という曲で、無知な私は聴いた感じで戦後それ程経っていない頃に録音されたものだと思ったのですが調べてみるとこれが戦前の録音だと知ってビックリ仰天です。笠置シヅ子のブラックな歌いっぷりに引き込まれて、これは出来得る限りノイズを除去してクリアな音で聴いて頂かなければという思いで作業しました。ブギウギもいいですが「ラッパと娘」は別格だと思います。以前のエントリーで触れたかも知れませんが今使っている波形編集ソフトウェアはかなり高精度にノイズ成分を除去できます。オートマチックのノイズリダクションプラグインでもそれは出来るのですがそれをやってしまうと原音の成分がかなり殺がれて文字通り音が死んでしまうのでプラグインは一切使わず総て手作業です。3分半位の音源で500箇所以上(作業履歴が残るのでそれを見て思わずビックリしました(笑))のノイズを波形を見ながら除去していきます。この道30年以上なのでノイズの波形を見ればどんなノイズが聞こえるかは直ぐにわかりますしその対処法もほぼ確立しています。これまでに蓄積したノウハウで最大限の仕事をさせていただきました。私は元来クラシック畑でジャズもそれなりに聴きますが所謂歌謡曲でここまで感動したものはあまりありません(別に歌謡曲を見下げている訳ではありません)。ネットにも音源がありますので是非ともこの名曲、名唱をお聴きください。ノイズ除去の仕事をしながら感動した曲がもう一つあります。それは暁テル子の「東京シューシャインボーイ」です。シューシャインボーイとは靴磨きの少年の事で、ともすれば暗い内容になりがちなモチーフが明るく前向きな内容でオケのアレンジも秀逸で聴いた瞬間好きになりこれも力を入れて作業をさせていただきました。そういえば子供の頃即席ラーメン「たまご麺(ハウス食品)」のコマーシャルで流れた曲(「ミネソタの卵売り」の替え歌)も元は暁テル子の曲でした。昔は若気の至りで歌謡曲を殆ど聴きませんでしたがこうして仕事を通じて聴いてみると確かに良い曲が多くあります。特に「ラッパと娘」は連ドラが切っ掛けで多くの人に聴かれるようになったようでこれからも聴き継がれればと思います。

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