2007年8月15日水曜日

松村禎三さんの死

家で取っている読売新聞の芸術欄を読んでいたら、池辺晋一郎さんの記事があり、松村さんの死を知った。まだ学生の頃、作曲家になりたいと思っていて、当時発売されていた現代日本の作曲家のレコードを買ってよく聴いたが、松村さんの作品は、三善晃さんや黛敏郎さんの作品と並んで好きだった。

思いつくものを挙げてみると、ピアノ協奏曲第1番はショパンのノクターンを彷彿とさせる非常に静謐な冒頭のオスティナートの動機がどんどん増殖していき、爆発的なエネルギーに満ちた音楽に変貌していくのが魅力だったし、ピアノ協奏曲第2番はギラギラと照りつける太陽のような音響と強烈なオスティナート、交響曲は極めて緻密な管弦楽法と音の堆積、室内楽のクリプトガム(隠花植物)ではオンドに似た音色を出す電子楽器「クラヴィオリン」を効果的に使用していて、若い頃の自分にとって示唆される事が多かったと同時に、こんなに緻密な音楽は自分には書けないだろうなという軽い絶望感を懐いたりした。

自分にとっては何時までも当時の松村さんが基準になっていたが、考えてみると自分が学生時代に影響を受けた当時壮年だった作曲家が今や70歳を超えている。時間の流れの速さに改めて愕然とする。松村禎三さんのご冥福を祈ると同時に、自分の将来の持ち時間も少ないのだなぁと感じて、今まで敬遠していた技術的に難しいピアノ曲にどんどん挑戦していこうと決心した次第である。

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