実はYAMAHA NS-10M STUDIOは現役商品時代に新品で買って導入した事がありました。以前に何処かで書いたかも知れませんが当時は10Mに在らずんばモニターに非ずというようなファッショな空気があって、まぁ所謂標準と目されているモニターの1つを持っていてもいいかなと編集システムに導入しました。実際に聴いたら「なんじゃこりゃ?」というのが最初の印象で置き場所やアンプを変えたり色々と調整してみましたがどうやっても自分には全く合わず、何故このスピーカーが絶賛されているのかさっぱりわかりませんでした。密閉型という事もあって低音が出ずツィーターがただキンキンと耳に痛く、まるでイコライザーで低域をバッサリとカットして中高域を10dBくらい上げたような兎に角聴いているのが苦痛極まりない音だったので程なく売払いタンノイのSYSTEM600に入れ替えて漸く落着きました。それ迄にも国産スピーカーはオーディオ用モニター用問わず物理的な音はすれども音楽が聴こえて来ないものが多くて嫌いだったのですがこのスピーカーはその典型的な物でした。自分は別に舶来物崇拝者でもなく国産で良い物があればそちらを優先して使いたいと常々思っているのですが殊スピーカーに関しては国産品は(唯一TEAC/TASCAMを除いて)苦手です。低音が聴こえないのでこれでミックスして仕事上ヤバい事になりそうになった事もあります。こんな(自分にとって)音の悪いスピーカーがあれだけ流行ったのはアメリカの某著名エンジニア、プロデューサーが使っていたからだと後に聞いたこともあります。海外の一部ではNSをもじってナスティーと呼んでいたとか。モニタースピーカーは聴いて楽しいものではなくシビアに粗を見つける物だという一種の精神論もこのスピーカーの悪しき面を補完するものだったのかも知れません。ネットなどを見ているとこれで低音が見えるという人がいるようで超能力の持ち主ではないかと真面目に思います。
さてテンモニの悪口はこの辺りで止めて、何故EX-10Mに興味があったかというと、確かテンモニがコーン紙が調達出来なくなって(本当はメーカー側も既に時代遅れになっていると薄々感じていてやめるタイミングを探っていたのではないかと勘繰っています)生産終了した際、有名機材ショップで代替品として企画され同じ密閉型ですがウーファーを一回り大きい20cm、筐体も少し大きめにして他のメーカーが作るとどんな音になるのかを知りたかったからでした。しかもかなり低価格に設定されていましたので参考として手に入れようと思っているうちにこちらもカタログから消えてしまい、今まで中古でも見かけなかったので存在自体を忘れていました。それをスピーカーコーナーで発見。テンモニは特徴的な白いコーン紙が災いして経年で黴の様なシミが全体に広がっていたり黄色く変色している物が殆どですが、こちらは同じような白い紙製コーンであるものの多少細かいシミは見られますが変色も少なく全体的に当時物とは思えない程状態が良かったので(しかも安物商品は手荒に扱われてまともに残っている物が少ない)、そっくりさんがどんな音なのか聞いてみたいのと、懐かしさもあり、しかも安かったので購入しました。本体は9kgもあり結構重いです。
早速アンプに接続して聴き慣れたソースを鳴らしてみると、中々いい感じです。当時テンモニで感じた不快さは全くありませんでした。決して重低音が出る訳ではないのですが、ウーファーが大きい所為なのかはわからないものの低音感はきちんとあって中高域が痛いという事もありません。当時と比べて自分自身も歳を取り可聴帯域も下がっており而も2機種並べて比較した訳ではないので至極いい加減な感想ですが。(笑) ドライバーユニットを留めるネジなど細部の見た目がチープなのは定価から考えても仕方がないのですがウーファーのエッジは材質的に経年には強そうで自分にとってはかなりの好印象です。アクティブは内蔵アンプが故障するとお手上げですがパッシブは断線や過大入力によるコイル焼け等が無ければ鳴らす事が出来るのでその点でも安心出来ます。実はアクティブモニターでアンプが壊れてしまった物を持っているのですが海外メーカー製で修理の手続きが面倒なので放置しています。今回は懐かしい物が良い状態で大変気に入りました。

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