届いた梱包を開けて見ると画像の通り、これ本当に綺麗にすることが出来るのだろうかと一瞬疑ってしまうような汚さでした。電池ホルダーの金具は液漏れで腐食し錆びだらけ、トランジスターの金属ケースにも腐食が目立ちこりゃ駄目かもと諦めかけましたが、電池を入れてみたらちゃんと動作します。AC電源は通電していないようで、セレン整流器が駄目になっているかもと思ったのですが、コードを上下逆に差し込んでみたら動作しました。このラジオはラジカセなどでもよく使われている本体側の差し込み口に爪が付いていてコードを差し込むと爪が押されて電池からAC電源に切り替わるという方式で、長い間コードが差し込みっぱなしだったせいでプラグの一部が爪の圧力に負けて凹んでしまい、スイッチが切り替わらないというだけでした。さすがにボリュームにはガリがありましたが何度もグリグリと廻しているうちに殆ど消えて、ラジオとしては特に故障もなく完動品だった訳です。これはラッキーでした。(^^)
左:出品時 右:清掃後(以下同) |
外装もさることながら内部が兎に角汚いです。埃や錆の微粉末は全て除去し、基板上の部品、基板表面も徹底的にクリーニングしました。電池ホルダーの金具と取り付けネジが錆び付いてネジがどうやっても廻らず結局ネジの頭を舐めてしまったので最後の手段、ネジザウルスで外しました。これは便利ですね、あっという間に外れました。やっとの事で金具を取り外し金ブラシで擦った後、呉のラストリムーバーに漬け込んで錆を除去しましたがかなり進行していてある程度以上は落ちないので黒錆転換剤を塗った後シルバーメタリック塗料で誤魔化しました。(笑)
外装は先ず精製水(汚れがよく落ちます)でざっと綺麗にした後、こびりついた汚れはアルコールで拭きました(無水エタノールだと変色する可能性があるので度数の少ない市販の殺菌用アルコールを使用)。これでほぼ汚れは落ちたのですがどうしても落ちにくい箇所があったので極細コンパウンドで仕上げました。
これで出品時の汚い面影はほぼ無くなりました。(笑)
このラジオを実際に使ってみたところ経年を感じさせないくらい非常に高感度で吃驚しました。シリコンブリッジではなくセレン整流器を使っている事から(富士電機製造はセレン整流器の一大供給メーカーでした)、おそらく昭和40年代前半迄くらいの製品だと思われるので自分とほぼ同じ年代ですね。(^^; 使用しているトランジスターは自分が子供の頃に作ったラジオキットに使われていたものと同じものでした。それにしても今高感度ラジオとして売られているものと比べても全く遜色のない高感度でDX(遠距離受信)にも充分使えますね。夜になると地方局がガンガン入感しますし、ちょっと自宅から離れている中央高速のハイウェイラジオも受信できます(このハイウェイラジオが入感するかどうかでラジオの感度を判断しています)。デザインも可愛らしく、スピーカーの口径も大きいので音質も良く大変優秀なラジオだと思います。尚、残念ながら富士電機は現在家電製品は製造販売していません。