2020年8月14日金曜日

骨董テスター修理

 随分前にネットオークションで入手した昭和27(1952)年頃のナショナルのテスター(製造は東洋計器株式会社)を修理しました。届いてから長い間放置していましたがお盆休みで時間があったので漸く手を付けました。

ナショナルの販売店に記念品として配られたもののようです
木製の立派なテスターです
本体底面に説明書が貼り付けてあったので読んでみると単1乾電池1本を電池ボックスに入れるようです。しかし、本体に電池を入れても全く動作せず、豆球チェッカーも不動、セレクターで測定種別を切り替えて外部端子に電池を繋いでも全くメーターの針が振れない状態でした。まあ骨董品(笑)なので動作しない事は落札時から想定内でしたが。最初は分解する方法がわからず、木箱には捻子らしいものがないのでメーターが付いた前面のパネルを外すと内部にアクセスできました。何本かの配線は切れており、おまけに単2電池ホルダーが増設されていて当時入れた乾電池がそのまま残っていました。

なぜか単2電池用ホルダーが取り付けられていました

古い物を入手すると、時々理解に苦しむような改造が施されている事があって、これがまさにそうです。奥にある単1用の電池ボックスの金具から単2用ホルダーの金具に並列に配線されています。当時は単1電池は高価だったのでしょうか。それとも入手しづらかったのでしょうか。この電池を交換するためにはいちいち前面パネルの捻子4本を外さなければならない上に(本来の電池ボックスなら捻子2本)、メーター回りの配線を切断してしまう危険を冒さなければならず、何れにしても何でこんなに面倒くさい事をするかな~と首を傾げてしまいました。このホルダーには昔の電池がそのまま入っていました。
自分が子供の頃、ナショナルの乾電池は既に「ハイトップ」だったので「ハイパー」乾電池は店頭でも見た事が無く、おそらく昭和30年代~40年代極初期のものだと思います。
箱内にも埃が多く綺麗に掃除して、オリジナルにはない(であろう)後付けされた単2用電池ホルダーは即刻撤去して配線をやり直しました(撤去後の木ネジ穴はパテで埋め、外した単2ホルダーは珍しいので保存する事にしました)。配線材は撚り線では無く単線だったので半田付けが非常にやりにくく難儀しました。撚り線を半田揚げすると半田が直ぐに馴染んでくれるのですが、単線だと柔軟性が無い上に半田が載りにくく半田が冷えて固まる前に何かの拍子で線が動いてしまうと直ぐに外れるので一層の事撚り線に全部交換してしまおうかと思いましたが、一応オリジナルを尊重するために頑張って単線を半田付けした次第です。その他電池ボックス(オリジナル)の金具の捻子が緩んでいたので締め直し、外装の木材も楽器(ギター)用の艶出しポリッシュで磨きました。豆球点火試験用のソケットも錆を落として手持ちの懐中電灯の豆球を挿入したらちゃんと点灯するようになり一安心です。入手時は埃や汚れが酷かったのですが漸く人前に出しても恥ずかしくなくなりました。(笑) 木箱の裏側には大きなナショナルマークがプリントされています。
このテスターは12Vまでの直流電圧測定、50kΩまでの抵抗値の測定、豆電球の点火試験が出来ますが、修理後はこれら全ての機能が回復し(0Ω指針調整用の巻線型可変抵抗器=ボリュームも生きていました)、メーターが本格的なので細かい値まで読み取れます。不動品がしっかり動作するようになると楽しいですね。ジャンク漁りはなかなかやめられないです。(笑)

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