2020年8月15日土曜日

ラジオの手入れ

 ネットオークションに珍しい富士電機製造(現富士電機)の卓上型ラジオが出品されていて、値下げされたので落札しました。電源が入らないためジャンク品という事で、まあ動作不良は想定内ですが、画像を見る限り埃や汚れで兎にも角にも汚いラジオでした。こういうのを見ると綺麗にしてやろうと燃え上がるのです。(笑)
届いた梱包を開けて見ると画像の通り、これ本当に綺麗にすることが出来るのだろうかと一瞬疑ってしまうような汚さでした。電池ホルダーの金具は液漏れで腐食し錆びだらけ、トランジスターの金属ケースにも腐食が目立ちこりゃ駄目かもと諦めかけましたが、電池を入れてみたらちゃんと動作します。AC電源は通電していないようで、セレン整流器が駄目になっているかもと思ったのですが、コードを上下逆に差し込んでみたら動作しました。このラジオはラジカセなどでもよく使われている本体側の差し込み口に爪が付いていてコードを差し込むと爪が押されて電池からAC電源に切り替わるという方式で、長い間コードが差し込みっぱなしだったせいでプラグの一部が爪の圧力に負けて凹んでしまい、スイッチが切り替わらないというだけでした。さすがにボリュームにはガリがありましたが何度もグリグリと廻しているうちに殆ど消えて、ラジオとしては特に故障もなく完動品だった訳です。これはラッキーでした。(^^)
左:出品時 右:清掃後(以下同)
外装もさることながら内部が兎に角汚いです。埃や錆の微粉末は全て除去し、基板上の部品、基板表面も徹底的にクリーニングしました。電池ホルダーの金具と取り付けネジが錆び付いてネジがどうやっても廻らず結局ネジの頭を舐めてしまったので最後の手段、ネジザウルスで外しました。これは便利ですね、あっという間に外れました。やっとの事で金具を取り外し金ブラシで擦った後、呉のラストリムーバーに漬け込んで錆を除去しましたがかなり進行していてある程度以上は落ちないので黒錆転換剤を塗った後シルバーメタリック塗料で誤魔化しました。(笑)

外装は先ず精製水(汚れがよく落ちます)でざっと綺麗にした後、こびりついた汚れはアルコールで拭きました(無水エタノールだと変色する可能性があるので度数の少ない市販の殺菌用アルコールを使用)。これでほぼ汚れは落ちたのですがどうしても落ちにくい箇所があったので極細コンパウンドで仕上げました。
これで出品時の汚い面影はほぼ無くなりました。(笑)
このラジオを実際に使ってみたところ経年を感じさせないくらい非常に高感度で吃驚しました。シリコンブリッジではなくセレン整流器を使っている事から(富士電機製造はセレン整流器の一大供給メーカーでした)、おそらく昭和40年代前半迄くらいの製品だと思われるので自分とほぼ同じ年代ですね。(^^; 使用しているトランジスターは自分が子供の頃に作ったラジオキットに使われていたものと同じものでした。それにしても今高感度ラジオとして売られているものと比べても全く遜色のない高感度でDX(遠距離受信)にも充分使えますね。夜になると地方局がガンガン入感しますし、ちょっと自宅から離れている中央高速のハイウェイラジオも受信できます(このハイウェイラジオが入感するかどうかでラジオの感度を判断しています)。デザインも可愛らしく、スピーカーの口径も大きいので音質も良く大変優秀なラジオだと思います。尚、残念ながら富士電機は現在家電製品は製造販売していません。

2020年8月14日金曜日

骨董テスター修理

 随分前にネットオークションで入手した昭和27(1952)年頃のナショナルのテスター(製造は東洋計器株式会社)を修理しました。届いてから長い間放置していましたがお盆休みで時間があったので漸く手を付けました。

ナショナルの販売店に記念品として配られたもののようです
木製の立派なテスターです
本体底面に説明書が貼り付けてあったので読んでみると単1乾電池1本を電池ボックスに入れるようです。しかし、本体に電池を入れても全く動作せず、豆球チェッカーも不動、セレクターで測定種別を切り替えて外部端子に電池を繋いでも全くメーターの針が振れない状態でした。まあ骨董品(笑)なので動作しない事は落札時から想定内でしたが。最初は分解する方法がわからず、木箱には捻子らしいものがないのでメーターが付いた前面のパネルを外すと内部にアクセスできました。何本かの配線は切れており、おまけに単2電池ホルダーが増設されていて当時入れた乾電池がそのまま残っていました。

なぜか単2電池用ホルダーが取り付けられていました

古い物を入手すると、時々理解に苦しむような改造が施されている事があって、これがまさにそうです。奥にある単1用の電池ボックスの金具から単2用ホルダーの金具に並列に配線されています。当時は単1電池は高価だったのでしょうか。それとも入手しづらかったのでしょうか。この電池を交換するためにはいちいち前面パネルの捻子4本を外さなければならない上に(本来の電池ボックスなら捻子2本)、メーター回りの配線を切断してしまう危険を冒さなければならず、何れにしても何でこんなに面倒くさい事をするかな~と首を傾げてしまいました。このホルダーには昔の電池がそのまま入っていました。
自分が子供の頃、ナショナルの乾電池は既に「ハイトップ」だったので「ハイパー」乾電池は店頭でも見た事が無く、おそらく昭和30年代~40年代極初期のものだと思います。
箱内にも埃が多く綺麗に掃除して、オリジナルにはない(であろう)後付けされた単2用電池ホルダーは即刻撤去して配線をやり直しました(撤去後の木ネジ穴はパテで埋め、外した単2ホルダーは珍しいので保存する事にしました)。配線材は撚り線では無く単線だったので半田付けが非常にやりにくく難儀しました。撚り線を半田揚げすると半田が直ぐに馴染んでくれるのですが、単線だと柔軟性が無い上に半田が載りにくく半田が冷えて固まる前に何かの拍子で線が動いてしまうと直ぐに外れるので一層の事撚り線に全部交換してしまおうかと思いましたが、一応オリジナルを尊重するために頑張って単線を半田付けした次第です。その他電池ボックス(オリジナル)の金具の捻子が緩んでいたので締め直し、外装の木材も楽器(ギター)用の艶出しポリッシュで磨きました。豆球点火試験用のソケットも錆を落として手持ちの懐中電灯の豆球を挿入したらちゃんと点灯するようになり一安心です。入手時は埃や汚れが酷かったのですが漸く人前に出しても恥ずかしくなくなりました。(笑) 木箱の裏側には大きなナショナルマークがプリントされています。
このテスターは12Vまでの直流電圧測定、50kΩまでの抵抗値の測定、豆電球の点火試験が出来ますが、修理後はこれら全ての機能が回復し(0Ω指針調整用の巻線型可変抵抗器=ボリュームも生きていました)、メーターが本格的なので細かい値まで読み取れます。不動品がしっかり動作するようになると楽しいですね。ジャンク漁りはなかなかやめられないです。(笑)